有機溶剤の業務を遂行する際に有害性を持つガスなどの排出と作業場の環境を守る装置が局所排気装置です。
局所排気装置は、有機溶剤などから発生する有害なガスや蒸気を発生する汚染源の近くに空気の吸い込み口を設け、さらに吸いこんだ空気中の汚染物質を除去して外部に放出する仕組みです。
汚染された作業場に新鮮な空気を入れて汚染濃度を低くし、そのまま外部に放出する方式は全体換気といいます。

<全体換気>


局所排気装置は空気取り入れ口のフードと作業場内から外部に至るまでのダクト、空気の流れを引き起こすファン、さらに汚染物質を取り除く除去装置、排気ダクトなどから構成されます。
フードは作業場の形態などにより四角形や漏斗型などの形状があるほか、有害物質の性質から囲い式やブース式、外付け式、レシーバ式の3種類に分かれます。
ダクトも流れる気体の量や熱などから広さや形状、材質を考えます。
ファンは作業内容に影響を与えない気体の流れが求められます。
塗装作業で強い吸引力で吸い込めば塗装の出来にも影響を及ぼすので、適正な流れをつくるファンが絶対条件となります。

<囲い式、ブース式>



<外付け式>



<レシーバ式>


有害物質を取り除く空気除染装置は、粉じんを除去する除じん装置とガスや蒸気を除去する排ガス処理装置が主なものです。
排気のダクトは排気を放出する部分で雨や風対策が必然です。
プッシュプル方式は文字通り、空気を押しだすと同時に引き込むことです。
有害物質を生みだす作業場の作業をする近くから空気を送り込み、汚染された空気をそっくり反対側で吸い込みます。
確実な気体の流れをつくることで汚染物質の拡散を防止するので有毒性の強い溶剤を使う場合に適しています。

<プッシュプル方式>




局所排気装置の設計や施工、管理については専門の知識が欠かせません。
たとえばダクトにかかる圧力や空気が流れることによって生じる熱に対応するためには、ち密な計算が求められます。
ファンの能力も同様で、いずれも経験に基づいた計算式が存在します。
作業場の良好な環境と労働者の健康維持のためには専門家に委ねることが基本となるでしょう。

参考

職場の安全サイト「換気」
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/pdf/taisaku/common_Ventilating.pdf