有機溶剤中毒予防規則

有機溶剤が原因で発生した事故を契機に有機溶剤中毒予防規則ができました。1959(昭和34)年に、合成サンダル製造やポリエチレン袋の印刷に従事する作業員の間で再生不良性貧血が多発しました。東京や大阪のほか全国で発生、社会問題に発展しました。日常生活に大きな変化をもたらした化学工業の進歩に、法や安全対策が追い付いていないことの表れでした。原因は接着剤として使用したベンゼンゴムのりと印刷インキの溶剤として使用したベンゼンによるベンゼン中毒でした。

当時の労働省はベンゼンを含有するゴムのりの製造と販売を禁止するとともに、1960(昭和35)年秋に、有機溶剤による労働者の健康障害の予防策として労働基準法の特別規則として「有機溶剤中毒予防規則」を制定、翌年1月1日から施行されました。1960年当時は、対象の有機溶剤は健康被害をもたらす可能性の強い51種でした。その後、1・1・1-トリクロルエタンなどが加えられ、法改正も毎年のようになされ、現在に至っています。

有機溶剤予防規則は8章35条で構成されています。1章は「総則、2章「設備」、3章「換気装置の性能等」、4章「管理」、5章「保護具」、6章「健康診断」、7章「測定」、8章「有機溶剤等の貯蔵及び空容器の処理」となっています。1章第1条では有機溶剤と有機溶剤等、有機溶剤業務の定義を示しています。有機溶剤を性格別に第1種から第3種までに分類、第1種は単一物質である有機溶剤のなかで蒸気圧が高く、さらに人体に甚大な害を及ぼすもの7種。第2種は40種と多く、混合物もしくは40種の有機溶剤を5%以上含有するものとなっています。第3種は第1種、第2種以外の7種でガソリンなど可燃性の高いものが多くなっています。

設備については作業にあたり、有機溶剤の蒸気の発散元を密封する設備、あるいは局所排気装置のいずれかの設置を義務付けています。第3章は有機溶剤を使った作業に重要な換気設備などの指針となっています。4章は有機溶剤作業主任者の役割を中心に、作業に於いて講ずべき必要な措置などについてです。5、6、7章は有機溶剤を使った作業員の健康保護について健康診断などの対応策を具体的に明示しています。

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