人体に害をもたらす有害物質を生じる有機溶剤を扱う設備等の設置や移転に関しては労働安全衛生法によって届出が義務付けられています。
法改正前は有機溶剤中毒防止規則に依拠していましたが、平成の法改正後は労働安全衛生法にまとめた形になっています。
届出対象は労働安全衛生法88条に明記されています。
(参考:中央労働防災協会HP『労働安全衛生法 第十章 監督等(第八十八条-第百条)』)

対象の機械等の種類では「有機則第5条又は第6条の有機溶剤の蒸気の発散源を密封する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置」をあげています。



届出事項は、箇条書きで
①有機溶剤業務の概要
②有機溶剤の蒸気の発散源となる機械又は設備の概要
③有機溶剤の蒸気の発散の抑制の方法
④有機溶剤の蒸気の発散源を密封する設備にあっては、密封の方式及び当該設備の概要
など業務内容と有機溶剤の有害ガスなどの対応策を求める内容になっています。
労働安全衛生法85条では計画の届出に際して図面や書類を提出することも求めています。

それによると
①事業場の周囲の状況及び四隣との関係を示す図面
②敷地内の建設物及び主要な機械等の配置を示す図面
③原材料又は製品の取り扱い、製造等の作業の概要を示す書類又は図面
④建築物の各階の平面図及び断面図並びにその内部の主要な機械等の配置を示す書面または図面が必要になります。
なお、仮設の建物や機械等の原動機の定格出力が2.2キロワット未満である建物などについては届出の義務は除外されています。

届出は法で定められた様式第20号の「建設物・機械等の設置・移転・変更届」により、事業の種類や名称、労働者数などの基本データと計画の概要などを記入して事業所のある労働基準監督署長宛てに提出します。



労働基準監督署長が必要と認めた場合は職場環境や設備等に関しての改善勧告や要請が事業者になされます。
さらに厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は労働安全衛生法を施行するにあたって必要と認めた場合は事業者や労働者等に必要な事項を報告させたり、出頭を命じることができることになっています。