有機溶剤の危険性

有機溶剤は、石油化学工業の発展や需要の増加で1960年(昭和30年代半ば)代から急増し、特にトリクロルエチレン等の塩素系溶剤が増えました。石油やシンナー、接着剤などの有機溶剤は便利さの陰に危険性を伴うことがベンゼン中毒を契機に明らかになり、1959(昭和34)年に有機溶剤中毒予防規則に制定に結びつきました。扱い方によって有害なことは認知されてきましたが、他方、次々に新製品も開発されています。

新しい有機溶剤や溶剤を混ぜて使った場合の毒性については、あまり知られていないことも多く、有機溶剤を扱う労働者には手探りの状態ともなっているのも現状です。
有機溶剤は基本的には高濃度を吸えば、急性中毒に、低濃度でも長い期間吸えば慢性中毒を引き起こします。「急性中毒」は密閉されたタンクやトンネル、大きな槽などの作業で高濃度の蒸気を吸って頭痛やめまい、吐き気を起こし、気を失って最悪は死に至るものです。死亡を免れても日常生活に不便をきたす後遺症が残ることが多いと言われています。

「慢性中毒」は、多彩であると同時にあいまいなものが多く、有機溶剤を使っていることに注意していなければ見逃してしまうことも多いのです。症状としては①手が荒れる②異常に疲れを感じ、足がだるい③頭痛、頭痛感、めまい④いらいら、不眠⑤胃のもたれ、食欲がない。溶剤に「酔う」―などの症状があります。これらの症状があれば赤信号と考えられます。溶剤との接触を断つと同時に医療機関などを受診するなどの対策を講じます。

有機溶剤の毒性については有機溶剤中毒予防規則の健康診断の条項で毒性について書かれています。発がん性についてはサンダルのゴムのりに用いられたベンゼンによる白血病、再生不良性貧血が知られています。トルエンやトリクロルエチレンによる脳の萎縮や脳波異常、トルエンやスチレンなどによる視力低下、視野狭窄、トルエン、灯油による貧血なども問題になっています。トリクロルエチレンと腸管ノウ腫様気腫(腸に袋が多発し腹のはりなどを訴える)との関係や、1・1・1-トリクロルエタンやテトラクロルエチレンが過敏性肺炎を引き起こした例も報告されています。

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