人体に有害な毒性を持つ有機溶剤を使った作業で作業員の安全と健康を守るために置かれるのが有機溶剤作業主任者です。
有機溶剤に対する知識はもちろん作業工程を熟知、作業場全体と作業員の健康管理を担う知識が求められます。

それらを学ぶための手段として有機溶剤中毒予防規則第9章に「有機溶剤作業主任者技能講習」の項目が設けられています。
有機溶剤を使う業務は塗装関係からクリーニング業、内装業、インクを使う印刷業など多種多様にわたりますが、有機溶剤作業主任者はそれぞれの現場責任者と管理者等には不可欠な資格です。
有機溶剤作業主任者技能講習は厚労省の労働安全衛生法に基づき東京都をはじめ埼玉県、群馬県など都道府県単位で当該の労働基準局が主管して実施しています。

(参考:中央労働災害防止協会 安全衛生情報センターHP
有機溶剤中毒予防規則 第九章 有機溶剤作業主任者技能講習(第三十七条)



有機溶剤中毒予防規則37条で「有機溶剤作業主任者技能講習は、学科講習によって行う」とされ、学科内容等が示されています。
それによると
①健康障害及びその予防措置に関する知識
②作業環境の改善方法に関する知識
③保護具に関する知識
④関係法令
の4つとなっています。

①では有機溶剤を吸い込んだり触れたりすることによって生じる健康障害について学びます。
②では作業現場の換気や換気装置の設置など有機溶剤を作業員が吸ったり肌に触れないようにする方法を習得します。
③では有機溶剤を吸い込まないための有効なマスクなど保護具に対する知識を高めます。
④では有機溶剤中毒予防規則のほかに労働安全衛生法、作業環境測定法など関係法令の理解を深めます。



有機溶剤作業主任者技能講習の受講資格は、18歳未満では法令で有機溶剤作業にかかわれないこともありますが18歳以上となっています。
講習は月に1回程度の割合で、各都道府県単位で実施されています。

栃木県では宇都宮市の栃木県建設産業会館が会場となっています。
講習は2日制で、1日は午前9時から午後5時(昼食休憩等を除く)まで続けて行います。
学科の内容は前記の①と②の場合は各4時間、③と④の項目に各2時間の計12時間です。
受講料は税込12,100 円(令和4年)とほかにテキスト代がかかります。
終了後に試験がありますが講習内容を確認する内容で、講習をしっかりと受けていれば問題はないようです。
修了者には修了証が与えられます。