可燃性のガスや液体を取り扱う事業所にとって、「防爆」への対応は最大で永遠の課題となります。

エアコンの設置が不可欠となりますが、現在、一般的に使われているエアコンは、メーカー間の競争によって製造コストの削減に伴うコンパクト化が進み、防爆仕様のモーターが搭載できない構造になっています。

このため、防爆の機能のある完全密封のモーターを備えたエアコンは、特殊で大掛かりなものになってしまいます。

最初から大規模な「エアハン」によって防爆の機能を持たせようとすると、数千万単位の設備投資が必要になることが予想されます。

法規を順守しなければならないことは理解していても、大きな負担感は否めません。

当然ながら相当なコストを覚悟しなければなりませんが、田崎設備はこの悩みを解消する方法を考案し、普及する取り組みを進めています。

一般に使われているエアコンを活用するため、低コストで設置できるのが大きな特徴です。

その方法は外気を100%取り入れる仕組みをつくり、外部のエアコンと室内との間に防火ダンパーを設けるというものです。

防火ダンパーは、万が一、火花が起きた時、ヒューズが飛んでシャットアウトする構造になっています。この場合、エアコンは必ず外部に設置することが条件です。

室内を冷却するエアコンではありますが、そのエアコンを選ぶことによって、低コストで防爆の仕様にすることができるわけです。

ただし、こうした方式を行うためには、倉庫の中で取り扱う物を含めて、消防署との事前の十分な協議が必要です。

田崎設備はエアコン機器の選定、設置、メンテナンスなどはもちろん、消防署との事前協議への支援まで、トータルで行っています。

お客様の状況はさまざまに異なり、取り扱う危険物にも違いが出てくるため、田崎設備は多様な選択肢を用意し、提案しています。

工夫次第でかなり解消できる場合があるため、ぜひご相談ください。

防爆対応の基礎知識(危険物製造所、危険物貯蔵庫の空調導入のための)

危険物を製造もしくは貯蔵保管する場所は、消防法にて1種危険場所又は2種危険場所と規定され、安全性を確保する構造が求められ、
それぞれ耐圧防又は安全増防爆の対策が施された電気設備が義務付けされています。

危険場所の種類 防爆の構造 特徴 使用できる場所
0種危険場所 本質安全防爆 極めて高い防爆性能 タンク内センサー、表示灯
1種危険場所 耐圧防爆 通常の状態で危険 危険物製造所・貯蔵庫
2種危険場所 安全増防爆 異常の状態で危険

解説 1種又は2種の判断は危険物により判断される(特殊引火物・第一石油類は概ね耐圧防爆)

危険物の分類
第1類 酸化性固体 それ自体は燃えない
第2類 可燃性固体 よく燃える、比較的低温(40℃)でも引火 鉄粉、金属粉、マグネシウム
第3類 自然発火性物質 自然に発火、水に反応 カリウム、ナトリウム、アルミニウム
第4類 引火性液体 よく燃える 特殊引火物 ジエチルアルコール、二硫化炭素
第1石油類 21℃未満 ガソリン、アセトン、アルコール類
第2石油類 21℃~70℃未満 灯油、軽油
第3石油類 70℃~200℃未満 重油
第4石油類 200℃~250℃未満 ギアー油
第5類 自己反応性物質 加熱分解などで反応して燃える 有機過酸化物、硝酸エステル類、
ニトロ化合物、ヒドロキシルアミン
第6類 酸化性固体 それ自体は燃えない 過酸化水素、硝酸



(可燃性液体の引火点、発火温度)

ガス蒸気の名称 引火点 発火温度
二硫化炭素 ー30℃ 90℃
アセトン ー20℃ 465℃
ガソリン ー43℃ 257℃
エタノール 13℃ 363℃
クロロベンゼン 29℃ 593℃

引火点が低いものほど、その蒸気が生じやすく爆発の雰囲気を生成しやすい。

製造所の基準

(区分)
原料(危険物)➡ 作業工程 ➡ 製品(非危険物) ➡ 一般取扱所 
原料(危険物)➡ 作業工程 ➡ 製品(危険物) ➡  危険物製造所
(保有空地)

指定数量の倍数が10以下 3m以上
指定数量の倍数が10を超える 5m以上

◆1 他の製造所・貯蔵庫と隣接して設置する場合、その相互間の保有空地は大きい方の幅の空地とする。
◆2 防火区画となる障壁で区画された場合、保有空地なしで工場等を設置することができる。
解説 空調機を設置する場合、空調機の寸法分だけ、保有空地を広げる必要がある。ダクトや配管などの付帯工事については貯蔵庫の一部として、保有空地を広げずに認められることが多い。

(換気設備)
室内の空気を入れ換える設備(強制排気)で、換気口は屋根上に設けることが望ましい。
換気ダクトを貫通するダクトに防火ダンパーを設置すること。
換気回数の規定はなし

(自動強制排出設備)
可燃性の蒸気又は可燃性の微粉が滞留するおそれのある場合
屋外の高所の強制的に排出する設備を設けること。可燃性微粉は集塵装置を設ける。
換気回数の規定はなし(消防署により意見が分かれる)
◆3 可燃性とは、①引火点が40℃未満、②引火点以上の温度にある危険物を大気にさらす状態で取り扱っているもの
③可燃性微粉を大気にさらす状態で取り扱っているもの、いずれかをいう。

解説 換気設備と自動強制排出設備の大きな違いは、①換気設備が自然排気が認めらえるのに対し、自動強制排出設備が強制排気である こと、②換気設備は高い所(天井面近く)の換気を目的としているが、自然強制排出設備は建物内部で可燃性蒸気や微粉が滞留する ことを考慮し、漏れた危険物を一時的に溜める桝(貯留設備)の上部10~20㎝より、ダクト吸引し屋根上に放出する。危険物を温度管理した状態で保管したい場合、空調機を設置するが、危険物貯蔵庫は防爆エリアのため、貯蔵庫内に電気設備である ため室内に空調機を設置することができない。そのため、室外又は隣接する非防爆エリアに空調機を設置し、外気を100%取り入れて 空調する(オールフレッシュ空調方式)。

オールフレッシュによる空調の場合、リターンの空気(RA)を取らないため、吸込温度制御で空調する。そのため、室内の温度を 一定に保つことが難しいので、緩慢な制御となる(例えば、夏30℃以下、冬10℃以上など) 更にシビアな空調管理を希望する場合は、より複雑な空調システムを組むか、本格的な空調方式である冷温水熱源によるエアハンド リングユニットの導入となるが、イニシャルコストやランニングコストが大きくなるため、慎重な検討が必要となる。 換気回数についても、消防法上明確な規定がない。危険物倉庫を空調管理する場合、もっとも空調機の能力選定に影響を及ぼす要因が 「換気回数」である。空調機の選定の際、一般的なエアコンの選定で重要な内部負荷や侵入熱量はあまり重要とはならない。

換気回数とは建物の容積(㎥)に当たる空気を1時間で何回入れ替えるのかの値を示すので、仮に換気回数5回/hとすると、1時間に5回 室内の空気を入れ替えることになる。その場合、強制排気するファン(送風機)の能力(風量)は容積×5回で求めることとなる。 危険物貯蔵庫を空調する場合、強制排気、強制給気が基本のため、排気量と同等もしくは排気量以上の給気量が必要となるのである。 オールフレッシュ空調機を機種選定する場合、最も優先すべき要因は室内機の風量のため、換気回数をどのように決めるかが重要と なってくるのである。

「換気回数」は所轄消防署との事前協議によって決定することが多い。換気回数をできるだけ減らすための根拠を申請者側が用意して 消防署を納得させることが交渉のポイントになるため、保管する危険物の種類及び数量、貯蔵庫内の空気の流れを提案説明する。 交渉には過去の事例説明も有効になるため、建て主や建築会社に任せず、設計者自らが事前協議に同行することが得策である。

(防爆電気機器の耐用年月)

防爆構造の種類 適正交換時期 耐用の限度
耐圧防爆構造 15年 20年
安全増防爆構造 10年 15年



(着火源の発生条件による電気機器の区分)

正常状態で着火源 三相巻線型誘導電動機、電気ヒーター、直流電動機、リレー
異常状態で着火源 三相かご型誘導電動機、乾式変圧器
正常状態、異常状態どちらも 検出器、測定器、通信機器
正常状態、異常状態においてならない デジタル腕時計、補聴器



(可燃性粉じんの発火度と危険性)

粉じんの名称 発火温度(堆積粉) 発火温度(雲上) 危険性分類 爆発下限濃度 種類
アルミニウム 320℃ 590℃ 爆燃性 37~50 金属
マグネシウム 340℃ 470℃ 爆燃性 44~59 金属
カーボンブラック 535℃ 690℃ 可燃性 36~45 金属
240℃ 430℃ 可燃性 153~204 金属
ポリスチロール 溶融 475℃ 可燃性 27~37 樹脂
ポリウレタン 溶融 425℃ 可燃性 46~63 樹脂
硬化ゴム 溶融 360℃ 可燃性 36~49 ゴム
小麦 炭化 410℃ 可燃性 農産物
ココア 245℃ 245℃ 可燃性 農産物
木綿繊維 385℃ 385℃ 可燃性 炭素系