栃木県宇都宮市で食品製造を営むお客様よりダクトについて以下のようなご依頼がありました。

生産機械の更新を予定しているが、機器の搬出入を行う通路にダクトがあり困っている。仮撤去をして生産機械を搬入後、ダクト復旧作業をしてほしい。


ご依頼があった本社工場を現場調査したところ、空調ダクト(SA)でした。冷却された空気の搬送ダクトのため保温されており、風雨対策としてラッキング(板金)施工されていました。
打ち合わせを進めていく中で今後も数年おきに生産機械の更新があるとお話があり、仮撤去後に同じように戻してしまうと保温も板金も使い捨てになってしまいコストもかかってしまいます。

そこで、今回の施工では何度も取り外しができ、防水で腐食にも強い表面材付発砲ゴム保温剤の使用をご提案させていただきました。(ただし、復旧作業時に多少の材料は使用します。)

表面材付発砲ゴム保温剤について

今回の施工では「表面材付発砲ゴム保温剤」を使用しました。
これは難燃性樹脂機材とアルミ箔、耐候性フィルムからできたレンジングジャケットと独立気泡構造の発砲ゴム保温剤を一体化させた商品です。高い耐候性能を有し、全世界の建築工事やプラント工事で20年以上の実績があります。
樹脂素材のためガルバ鋼板に比べ軽量(1/6)であり、カッターナイフで簡単に裁断が可能です。
屋内外を問わず使用でき、防水性能も高いため食品工場様向けと言えます。

同様の素材でできた「合成樹脂系外装材付発砲ゴム保温材」という商品もありますが、今回はお客様と協議を重ね、前述した「表面材付発砲ゴム保温材」を選択しました。
また、室内への送風温度に合わせて厚みは25mmを使用しました。

保温性能の違いについて

ダクトの保温にはグラスウールを使用するのが一般的です。
今回弊社が使用した表面材付発砲ゴム保温材とはどのようなものか、グラスウールと比較したものが以下の表です。

グラスウール 評価 表面材付発砲ゴム保温材 評価
材質 ガラス繊維 EPDM系合成ゴム独立気泡
使用温度
範囲
~350℃(金網等での固定施工が条件)
マイナスは-20℃まで
-200℃~125℃
対湿度耐水 一度保温材内部が保水すると断熱性能の低下、保温材の劣化につながる。 水分を含みにくいため熱伝導率を長い期間保てる。
外装材の有無 施工種別により外装材が必要。(保温材内部の保水による断熱性能悪化、保温材の劣化を防ぐため) × 基本的には防湿の為の外装材は不要。屋外の場合は紫外線及び鳥害対策として必要な場合がある。
施工性・施工方法 保温施工は技術を要する多湿箇所での外装材工事が必要。 柔軟性が高く施工が容易である。外装材を必要としないので作業手順が少ない。
トータルコスト 外装材の種類や作業工程手順が多いため高コスト。万が一の保温材の保水による改修コストなど、トータルコストとなると合成ゴム系に比べ高くなる。 本体材料はコスト高だが保温材自体が保水しにくく、防湿処理の外装工事が不要であるため作業時間が短縮でき、コストを抑えることができる。

まず材質についてですが、グラスウールはガラス繊維、表面材付発砲ゴム保温材はEPDM系合成ゴム独立気泡で構成されています。
EPDM系合成ゴム独立気泡とは主成分としてエチレンゴムスポンジを使用したゴムスポンジのことを指し、耐オゾン性、耐化学薬品性、耐熱性、電気絶縁性に優れているという特徴があります。通気・通湿性が低く、かびや昆虫、ネズミなどの害もありません。耐酸耐アルカリ性なので工場地帯での使用や、銅管を腐食から防ぐ断熱材としては理想的と言えます。
使用温度範囲はグラスウールが-20℃~350℃(金網等での固定施工が条件)に対し表面材付発砲ゴム保温材は-200℃~+125℃と広く、-20℃の過酷な環境でも使用可能です。
また、表面材付発砲ゴム保温材は表面材があることからグラスウールの弱点である保温材内部の保水による断熱性能悪化や保温材の劣化などの影響を防ぐことができる点や、柔軟性が高く施工が容易であるため作業手順が少なく防湿処理の外装工事が不要である点からトータルコストにおいて優れていると言えます。



グラスウール
グラスウール


(拡大)
グラスウール 拡大


亀甲金網(亀甲金網)



表面材付発砲ゴム保温材
表面材付発砲ゴム保温材


(拡大)
表面材付発砲ゴム保温材 拡大

施工風景写真

施工前(屋外)
施工前(屋外)1

カバーを外した様子
施工前(屋外)2

施工前(屋外)3

保温材を剥がした様子
施工前(屋外)4

施工風景(屋内)
施工風景(屋内)5

施工風景(屋内)6

施工風景(屋内)7

継目をシートで処理して完成
施工風景(屋内)8

施工完了(屋外)
施工完了(屋外)9

施工完了(屋外)10

施工完了(屋外)11

施工完了(屋外)12

施工完了(屋外)13

施工完了(屋外)14

施工の際に注意した点

施工後に接続部から水が浸入しないよう、雨仕舞の処理を慎重に行いました。
機器の更新工事のため数年で取り外すことが決まっていますが、食品を扱う工場等にとって漏水等による機器の劣化や生産加工現場の衛生状態の悪化は避けるべき問題です。
そういった事態を防ぐためにも丁寧な施工を心がけました。

類似の施工

田崎設備ではこのご依頼の他にも、表面材付発砲ゴム保温剤を使用した施工を行っています。
以下の写真は水冷式エアコンのダクト保温を行った際のものです。ダクトを持ち帰って田崎設備内で施工し、現場で取付け作業を行いました。

施工前(全体)
施工前 全体図

施工前(拡大)
施工前 拡大

施工後(全体)
施工後 全体

施工後(拡大)
施工後 拡大

取付け後
取付後

田崎設備では、お客様のご要望に合わせて最適な施工方法を検討し提案しています。
もし施工について不安やお悩みがあるようでしたら、ぜひ一度ご相談ください。