本事例は株式会社 鎌倉製作所様よりご提供いただいた資料に基づいて作成しています。
(弊社は鎌倉製作所様の代理店でもあります)

ご相談内容

農業用機械器具やホームセンターの設計・製造・販売、建設機械用製缶部品の製造を行っているお客様より、鎌倉製作所様へ以下のご相談がありました。

・製造を行っている工場内が暑く、風の影響を受ける溶接現場ではクーラーを使用できず困っている
・溶接ヒュームが排出されず、マスクが茶色くなるほど工場内に溜まっているため健康への被害が心配

このご要望に対して、鎌倉製作所様はルーフファンの新設と交換、搬送ファンの新設をご提案されました。

これまでの状況

まず、これまでの工場の換気設備は建屋棟部から給気して壁から排気するものであったため、建屋上部の熱やヒュームを吹き下ろしてしまうという状況でした。
壁からでは排気が十分にできず建屋上部に熱が籠り、その対策として扉を開放しスポットクーラーを一人一台あてがっていましたが近年の温暖化の影響もありそれだけでは暑さに対応しきれず、気化式冷風機等も検討してみたものの溶接現場では風の影響を受けてしまうため使用することができず対応に苦慮していました。
またヒュームに関しても、工場内に長時間いるとマスクがヒュームで茶色に変色するほどで熱同様に十分排出ができておらず、上部に溜まったヒュームが舞っている状況でした。

ヒュームとは

ヒュームとは溶接ヒュームとも呼ばれ、金属をアーク溶接する際にアークから発生する熱で溶けた金属が蒸気となり空気中で急激に冷やされて酸化し、金属のとても小さな粒子に変化したものです。白い煙のように見えるもので、今般この溶接ヒュームが神経障害等の健康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになり、労働安全衛生法施行令、特定化学物質障害予防規則(特化則)等が2021年4月1日に改正されました。


この改正では大きく分けて以下の6点が定められました。
1. 全体換気装置による換気等等(特化則第38条の21第1項)
空気中の溶接ヒュームを減らすために全体換気装置での換気、もしくはそれと同等以上の換気をすること。(局所排気装置、プッシュプル型換気装置を含む)

2. 溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用及びフィットテストの実施等(特化則第38条の21第2項~第8項)
新しい溶接の作業や方法の変更をするときは、個人ばく露測定によって、空気中にある溶接ヒュームの濃度を測定したり、測定の結果によって、必要に応じて換気の循環を上げたり、呼吸用保護具を装着する。

3. 掃除等の実施(特化則第38条の21第9項)
金属アークの溶接作業に従事する際は屋内にある作業場の地面を容易に水洗などで清掃できる構造のものとし、なおかつ粉じんが飛ばないように毎日1回以上の清掃をしなければならない。

4. 特定化学物質作業主任者の選任(特化則第27条、第28条)
「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した人から作業主任者を選任し、下記の3つの職務を行わせることが必要である。
・作業員が溶接ヒュームを吸い込んだり、被害を受けないように作業の方法を決めて指揮すること。
・全体換気装置など、作業員の被害を予防する装置を1か月以内の期間で点検すること。
・保護具の使用状況を監視すること。

5. 特殊健康診断の実施等(特化則第39条~第42条)
溶接ヒュームを取り扱う作業に常時従事する労働者に対して、健康診断を行うこと。

6. その他必要な措置
溶接ヒュームを取り扱う作業に関し、次の措置を講じることが必要です。
1.安全衛生教育(安衛則第35条)
2.ぼろ等の処理(特化則第12条の2)
3.不浸透性の床の設置(特化則第21条)
4.立入禁止措置(特化則第24条)
5.運搬貯蔵時の容器等の使用等(特化則第25条)
6.休憩室の設置(特化則第37条)
7.洗浄設備の設置(特化則第38条)
8.喫煙または飲食の禁止(特化則第38条の2)
9.有効な呼吸用保護具の備え付け等(特化則第43条、第45条)


詳細については以下のホームページ、パンフレットをご参照ください。
・厚生労働省ホームページ 『令和2年4月の特定化学物質障害予防規則・作業環境測定基準等の改正(塩基性酸化マンガンおよび溶接ヒュームに係る規制の追加)』より
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00001.html

・『金属アーク溶接等作業を継続して屋内作業場で行う皆さまへ』(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000746531.pdf

施工内容

今回の施工では、建屋の棟部分の給気用ルーフファン2台を排気用のものと交換、さらに排気ルーフファン2台を増設して溜まっていた熱を排出できるようにしました。

屋根の棟部分に設置されたルーフファン4台
屋根の棟部分に設置されたルーフファン4台

また、溶接時に風が影響を与えないような高さに搬送ファンを設置し溶接ヒュームをルーフファンへと導くことで、これまでは夕方になると照明の下がヒュームで白く曇ってたのが作業者の目から見ても「変わった」と分かるほど明らかな変化がありました。



建屋の八方に搬送ファンを設置、棟部分のルーフファンに熱やヒュームを誘導
建屋の八方に搬送ファンを設置、棟部分のルーフファンに熱やヒュームを誘導




配置図
配置図




風速分布図
風速分布図




設置前、設置後
設置前、設置後

写真ではわかりにくいですが、照明下の溶接ヒューム濃度に差が出ています。

溶接ヒュームの測定結果

測定結果1

測定結果2

目視での状況変化だけでなく、上記の表の数値からも溶接ヒュームが減少していることが分かります。

お客様の声

「熱と溶接ヒュームで困っていた現場環境が劇的に改善されました。長年の問題も解決し、夏場の暑さ対策にも効果が出ると期待しています。」

今回の施工後、お客様からは「溶接作業員の個人暴露は大きく変わるものではないですが、工場内に長くいてもマスクも汚れず白いままなので、工場全体の作業環境はかなり改善されたと実感しています。
今の時代、働く環境に関してもしっかり取り組んでいかないと社員の定着率に影響が出てしまうので、今回の導入で改善されてよかったです。職場メンバーからも課題解決をしてくれてありがとうとお礼を言われました。
これだけ風が通ると上に溜まっていた熱もしっかり抜けてくれているかなと今度の夏に期待しています。」とのお言葉をいただいたそうです。

鎌倉製作所の代理店になりました!

全体換気設備の分野で全国トップシェアを誇る(株)鎌倉製作所の代理店として、2022年4月より全製品を取り扱うことができるようになりました。
これからは換気の悩みを弊社がワンストップで解決できるようになりました。換気の改善、既存設備の更新など遠慮なく田崎設備に申しつけください。お客様の状況を拝見し、最適の改善策をご提案いたします。

また、産業用換気装置の製造・販売のメーカーであり業界のパイオニアとして市場開拓に取り組むなど半世紀以上にわたってルーフファン(屋上換気扇)のシェアNO.1を誇る鎌倉製作所様の施工までの流れやお問合せ先などについて、詳細は以下のリーフレットをご参照ください。(画像をクリックすると拡大表示されます)

鎌倉製作所 リーフレット1


鎌倉製作所 リーフレット2