重要な働きをする半面、有毒性を持つ有機溶剤
神経に影響を及ぼす毒性は労働者の健康面の維持はもちろんですが、犯罪を招く危険性までも備えています。
それだけに有機溶剤の保管管理には十分気を配る必要があります。
労働省令で定められている有機溶剤中毒予防規則も第8章「有機溶剤の貯蔵及び空容器の処理」で有機溶剤の作業前と事後の扱いについて慎重な扱いを求めています。

(参考:中央労働災害防止協会 安全衛生情報センターHP
有機溶剤中毒予防規則 第八章 有機溶剤の貯蔵及び空容器の処理(第三十五条・第三十六条)』

条文では第35条で管理に触れています。
「事業者は、有機溶剤等を屋内に貯蔵するときは、有機溶剤等がこぼれ、漏えいし、しみ出し、又は発散するおそれのないふた又は栓をした堅固な容器を用いるとともに、その貯蔵場所に、次の設備を設けなければいけない」と貯蔵場所について指示しています。

具体的には
①関係労働者以外の労働者がその貯蔵場所に立ち入ることを防ぐ設備
②有機溶剤の蒸気を屋外に排出する設備

として、厳重な管理と換気など常に作業員の安全に配慮する設備の設置を義務付けています。
蒸気を屋外に排出する設備では最低でも窓や排気管などが必要とされます。
なお、蒸気が発生する恐れのある場合は労働安全衛生規則も適用され、関係者以外が立ち入ることを禁止し、そのことを見やすい場所に表示することを命じています。



有機溶剤の使用後の空容器の扱いについては、有機溶剤中毒予防規則第36条で「事業者は、有機溶剤等を入れてあった空容器で有機溶剤の蒸気が発散するおそれのあるものについては、当該容器を密閉するか、又は当該容器を屋外の一定の場所に集積しておかなければならない」としています。
空容器に有機溶剤が少量残っている場合は、空気に触れる面積が増えて満タン状態よりも蒸気の発生する恐れが生じます。
人体に害を及ぼす状況に変わりはありません。
空だからと気を抜かない慎重な取り扱いが求められています。

有機溶剤中毒予防規則には明記されてはいませんが、事業所の周囲の環境にも気を配り、さらに事後も有機溶剤の空容器を放置せずに専門業者などに処理を依頼するなど危険物の認識を持つことが必要です。